札幌市立大学デザイン学部デザイン研究科第九回卒業修了研究展

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ごあいさつ

ごあいさつ

本年度も、札幌市立大学デザイン学部およびデザイン研究科による「卒業・修了研究展」を開催いたします。

私達はこれまで大学での授業や異分野との連携、そして個々人のクリエイティブな活動を通じて、「デザイン」の可能性を探ってきました。過ごした時間の長さは同じですが、各々が目指すべき道に向かって質の異なる「経験」「努力」を積み重ねてきました。

この大学で何を学び、何を掴み取ってきたのか。私たちが作り上げてきた「デザイン」の集大成を、それぞれが全く異なる趣向や形で表現するのが「卒業・修了研究展」の醍醐味でもあります。味わい深いデザインの世界、少しでも興味深く見ていただけると幸いです。

それでは、皆様のご来場を、心よりお待ちしております。

卒業・修了研究展実行委員長 空間デザインコース4年 原大介

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作品紹介(一部)

  • work work work work work work work
    自然の律動に呼応するヒトと建築

    建築の内外空間における「ヒト」の「快」には様々な種類が存在するが、そのなかでも夏の「涼しさ」感に着目し、その物理的な発現条件を解明するための被験者実験を行った。

    その結果をもとに、建築が外部環境に対して開き、住まい手たる「ヒト」の能動的な調整行動を引き起こすためのシステムを、「建築設備」と「しつらえ」の視点から考案した。

    本研究では、私の所属する札幌市立大学の建物であるC棟を対象として、本システムと建築意匠を統合したキャンパスの新たな未来像を示し、環境創生デザインとした。

    空間デザインコース

    原 大介

  • work work work work work
    「かわいい」の適用範囲の広がりについて−味覚における「かわいい」−

    本来「かわいい」という言葉は小動物や子どもなど幼いものや小さいものの外見や行動の愛らしさを表すものであった。しかし現代における「かわいい」は外見にとどまらず性格やイメージなどの内面や、自身が愛着を持つものや心惹かれるもの全般を指す言葉になりつつある。また、現代において「かわいい」は大きな力を持つ感性価値であり、日本のポップカルチャーとともに「Kawaii」が世界へと発信されるなど、「かわいい」が世界において影響力を持ちつつあるという認識は高まっているといえる。さらに、現在「かわいい」に関する研究は数多く行われている。特に五感においては視覚、触覚、聴覚の3つについて「かわいい」という表現が当てはまり、それぞれに対する研究結果が得られている。

    一方で味覚と、味覚に関わりの深い嗅覚については現在「かわいい」という表現は当てはまらず、研究もまだ行われていない。「かわいい」の適用範囲の広がりや、「インスタ映え」などに象徴される「かわいい」と「食」の距離の縮まりから、近い将来に味覚についても「かわいい」という表現が適用されると考えた。そこで本研究では⑴味覚における「かわいい」を明らかにすることと⑵「かわいい味」を構成する要素を明らかにすることを目的とし、「かわいい味」に関する考察を行った。

    製品デザインコース

    小野寺 果夏

  • work work work work work
    人が残した痕跡の研究−痕跡を活かしたデザインの提案−

    日常生活には人が残した痕跡や気配が多くある。我々は他人が残した痕跡から、無意識に様々な情報を読み取っている。主観的に生活している私たちに客観的視点を与えてくれる新しい視点が痕跡や気配にはある。痕跡の特徴を積極的にデザインに活かすことでデザイン制作に対する新しいアプローチができるのではないかと考え、痕跡の調査、研究、作品制作を行った。

    まず、日常生活の中で見られる人が残した痕跡の事例を多く収集した。収集した痕跡の事例をその特徴ごとに分類し、痕跡の持つ特徴を抽出した。調査によって導き出した痕跡の特徴は、「痕跡の継続時間」、「どの五感に訴える痕跡であるか」、「痕跡から人の行為を想像することができるか」という3点である。

    この3つを活かした作品制作を行った。作品はタンポポの綿毛をモチーフに制作した。人が息を吹きかけたり、作品と触れ合うことによりタンポポの綿毛に仕込んだLEDライトが点灯する。タンポポは点灯後20分程度光り続ける。ライトが一定時間点灯し続けることにより、人の気配や痕跡がこの作品に残る。次に訪れた人がこのライトを見て、誰かがここにいた、という痕跡を読み取ることができる。

    コンテンツデザインコース

    貴島 英恵

  • work work work work work
    遺産来訪者の記述録分析による、価値再評価−歌志内市の旧住友上歌会館を例に−

    世界遺産条約の成立以降、日本でも遺産への関心が高まり、炭鉱遺産が世間に認識されはじめた。遺産は多様な価値を内包するにもかかわらず、一面的な価値表現がなされているという問題がある。そこで、本研究では、空知地域の炭鉱遺産である、旧住友上歌会館(通称ロマン座)について、遺産の価値を再評価した。研究対象となるロマン座は、社会や地域の歴史に影響を受けているため、多様な価値観を持った人が訪れている。着目したのは、「ロマン座想い出ノート」と「ロマン座応援カード」。これらの記述記録には、遺産を訪れる人の視点から、ロマン座への思いが書かれている。記述記録をデータ化し、語の使用頻度と関係を分析、4 つのキーワード「歴史、場所、映画、昨日、悲別で」を見出した。来訪者の視点は、社会や文化的背景といった形ないものへ向けられていくことが明らかになった。

    一人ひとりの遺産への思いは、遺産の価値に直結する。既存の制度が遺産へ与える価値のほかに、個人の主観的な記憶に目を向け、これらを総体的に捉えることが大事である。論文では、最後に個人の主観的な記憶に目を向ける方法について提言をまとめ、遺産価値の可能性について言及している。

    メディアデザインコース

    鈴木 里奈

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アクセス

本展

本展

2018.2.5[MON] - 18[SUN]

10:00 - 17:00 [最終日は13:00まで]

入場無料

札幌市立大学 芸術の森キャンパス

地下鉄真駒内駅から2番バスのりば発のバスに乗車
札幌市立大学前にて下車、徒歩3分

チ・カ・ホ展

チ・カ・ホ展

2018.2.21[WED] - 26[MON]

10:00 - 19:00 [最終日は16:00まで]

入場無料

札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)

さっぽろ駅側イベントスペース